帯祝い(おびいわい)とは、妊婦の妊娠5か月目にあたる戌の日に、安産を祈願して腹帯を巻く儀式のことです。着帯式ともいいます。帯祝いの帯は岩田帯と呼ばれます。帯は妊婦の親族から贈られ、着帯の儀式を行った後は親族による共食の祝宴が行われます。 お産の軽い犬にあやかって妊娠5ヵ月目の戌(いぬ)の日に行われる、日本の習わし、お祝い行事です。
妊娠5ヵ月目に入ると胎児が順調に発育し、流産の心配がすくなることから、この時期に行われるものです。現在では特に戌(いぬ)の日にこだわらずに、妊婦の体調、様子をうかがいながらお祝いするご家庭も多いようです。
この帯祝いでは神社で安産祈願した後に内輪だけの祝宴を行います。実際に帯の着用を実施する場合、産婦人科など病院などで腹帯の巻き方の指導を受けたうえで、夫や妊婦の母親、姑が妊婦に巻くのが一般的です。かつては子宝に恵まれた夫婦の妻が妊婦に腹帯を巻いていたようです。
「岩田帯」は妊婦の腹に巻くための紅白の帯。けがれや災いから身を守る「斎肌(いはだ)帯」が語源です。そして、岩のように頑丈で強い赤ちゃんになるようにという願いが込められて「岩田帯」と命名されています。
下腹部に腹帯を巻くことでお母さんのおなかを保護、保温し、日々成長する赤ちゃんを冷えや衝撃から保護して、位置を安定させたり、母親の腰の負担を軽減したりして妊娠線を予防するなどの効果もあるといわれています。先人の知恵とも言えます。
◆参考文献
「子どものきもの大全」(似内恵子著)
「赤ちゃん・子供のお祝いごと―出産から小学校入学までの行事」(成美堂出版編)
「どうする?子供のお祝い―命名・お宮参り端午の節句・ひな祭り」(わか草研究会著)
「時代考証家のきもの指南」(山田順子著)
お産の歴史 ―縄文時代から現代まで (杉立義一著、集英社新書)
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