お食い初め

お食い初め(百日のお祝い)~誕生から約3か月後~

生後100日目前後産まれた子どもが初めて大人と同じものを食べるという成長の節目のお祝い。

 

お食い初めとは、赤ちゃんに初めて食べ物を食べさせる、または食べさせるマネをする儀式です。その歴史は平安時代に遡ると言われ、もともとは宮中儀式として存在したものが、庶民にも普及しました。「一生食べ物に困らないように」との願いを込めて、お祝い膳を用意し、赤ちゃんの口元に箸で料理を運びます。

 

赤ちゃんに初めて箸を使うことから「箸祝い」や「箸ぞろい」、乳歯が生え始める頃の儀式であることから「歯固め(はがため)」、初めて魚を食べさせることから「真魚始め(まなはじめ)」、「百日の祝い(ももかのいわい)」と呼ばれることもあります。

 

昔は親戚や親しい付き合いのある知人を招待する人が多かったのですが、近年では両親や祖父母など家族だけでお食い初めをする人が増えています。 場所はホテルやレストランなどお店を利用する人もいます。お食い初めの儀式に使うもので主に必要なのは、①食器類②歯固めの石③お祝い膳です。

 

①【食器 漆器のお膳】 お食い初めは、一生に一度の大切な儀式。お食い初め用の漆器を準備するのが昔からのならわしになっています。略式として、これから使えるように離乳食用の食器一式を新調して使うことも増えています。日本料理屋や神社で行う場合は原則、用意されます。

②【祝い箸】 両方の先端が細くなっている丸箸のことです。お正月や他のお祝いごとでも使います。 祝い箸は末広がりの意味を持つ八寸(約24cm)で作られていています。縁起がよく、片方の先端が人用、もう片方の先端は神様が使うとされ「両口箸」の別名もあります。 ③【歯固めの石】 準備する小石は1cm~数cmのものを。個数は地域によって違いますが、1、2個を準備します。小石はお宮参りの際に神社が授けてくれる場合もありますし、料理屋さんのものを使わせていただくこともあります。ご自分で準備する場合は、地元の氏神様の神社の境内からお借りする、または川・海などできれいなものを拾い、洗って使うとされます。 小石の代わりにお祝い用のお餅でも代用することもあります。

 

お食い初めでは特別なお祝い膳を準備します。献立は一汁三菜が基本。それぞれに長寿や健康への願いをこめたメニューでそろえましょう。

 

お食い初めのメニュー例

「尾頭付きの焼き魚」

頭から尾まで揃った姿に縁起が良いとされる焼き魚。めでたい(鯛)のシャレ、語呂合わせで、焼き鯛を準備します一般的です。

「吸い物」

「おっぱいを力強く吸ってたくましく育つように」という願いをこめたメニュー。出汁をよくとったすまし汁で、具材には鯛や鯉などが使われます。「よい伴侶に恵まれるように」との願掛けから、ハマグリを入れる地域、料理店も。

「煮物」

季節や地域によってさまざまですが、おめでたい「紅白」を表すニンジンと大根が入ることが多いです。カボチャや椎茸を亀の甲羅に見立てて六角形に調理したり、縁起食材の海老を入れることも。

「香の物」

酸味でお口の中をさっぱりさせ、味覚の口直しする役割があります。季節の野菜などを用いたぬか漬けなどが多いようです。

「赤飯」

古来、赤い色には邪気を祓ったり、魔除けの意味があるとされてきました。お食い初めというお祝いの席にも赤飯は欠かせません。和菓子屋さんで注文することも可能です。 お食い初めの儀式には、赤ちゃんへの食べさせ方にしきたりがあります。まずは「養い親」を決めます。

 

◆お食い初めの儀式について

この儀式のなかで赤ちゃんに食べさせるマネをするのが、「養い親」の役目。 もともとは、長寿にあやかって招待した近親者のなかから最年長の人、地域の長老が担当することことになっていましたが、近年では祖父母などに頼むことが大半ですが、両親でも構いません。赤ちゃんが男の子の場合は男性が、女の子なら女性が「養い親」を務めるのが一般的です。「養い親」の人は、ヒザの上に赤ちゃんを乗せ、祝い箸を使って食べさせるマネをします。

 

正式な作法としては①ご飯→②吸い物→③ご飯→④焼き魚→⑤ご飯→⑥吸い物の順に祝い箸で食べ物を口元へ持って行きますが、あくまで真似であるため、必ずしも厳密に行う必要性はありません。この順番を3回繰り返したら、最後に歯固めの儀式。 歯固めは、用意した小石にお箸でふれ、次に赤ちゃんの歯ぐきに軽くあてる。このとき「丈夫な歯が生えますように」と祈ります。

 

これで赤ちゃんへのお食い初めの儀式は終了。祝い膳は大人たちでいただきます。歯固めの儀式に使った小石は、元の場所へお返しします。

 

これがお食い初めです。わからない場合は料理をお願いする料理屋さんや神社などにお尋ねするとよいでしょう。

 

 

 

参考文献 

「赤ちゃん・子供のお祝いごと―出産から小学校入学までの行事」(成美堂出版編) 

「どうする?子供のお祝い―命名・お宮参り・端午の節句・ひな祭り」(わか草研究会著) 

「時代考証家のきもの指南」(山田順子著) 

お産の歴史 ―縄文時代から現代まで (杉立義一著、集英社新書)

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お食い初め

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